HOME > 活動報告 > ASTA活動 > ISO/IEC JTC1/SC7/WG26 シドニー会議報告
報告者 / 増田 聡 (NPO ASTER)
ASTERは技術振興団体として、ISO/IEC JTC 1(*1)/SC 7(*2) WG26(ソフトウェアテスト)のリエゾン団体であり、標準化・国際シンポジウム等への技術者派遣等を行っている。当報告では、 2014年6月15日~20日にオーストラリア・シドニーで開催されたISO/IEC JTC1/SC7/WG26でソフトウェアテストの会議の模様を報告する。
継続的な会議の報告は情報処理学会 情報規格調査会 (http://www.itscj.ipsj.or.jp/ ) に掲載されている。
今回参加した会議は、ISO/IEC JTC 1/SC 7 Plenary Meetingというもので、年に一回5月または6月に行われる。SC7の全体会議や、各WGで担当する標準の審議、各WGの人事、ビジネスプランと呼ばれる今後の標準化方針などが議論され、決定される会議である。これとは別にInterim Meetingというものもあり、これも年1回10月または11月に行われ各WGで各国から提出された標準に対するコメントをもとに、各標準の内容の審議が中心となる。
Plenary metingはJTC 1/SC 7の各WGが集まり、今回のWG数は15個、参加者は全体で約200名であった。会場はシドニー工科大学(University of Technology, Sydney)である。
月曜午前中には全員が参加するSC7全体会議が開かれる。月曜午後以降各WGに分かれ会議が行われる。会議Agenda詳細は各WGで異なるが、基本的には、現在作成中の標準の内容について、また今後の新規標準について短期的・長期的なプランなどが話し合われる。標準の内容によっては、複数WGに関係することがあり、それらもこの会議期間中にWG間で調整が行われる。
WG26では、現在審議中の29119-5 Keyword Driven Testingの各国からコメント対応処理、および今後の標準化提案の準備が中心となった。
WG26発足当時から取り組んでいるISO/IEC/IEEE 29119ソフトウェアテストの標準に関しては、Part1から3までは国際標準として発行され、当初の目的はほぼ達成された状況である。
[図1] ISO/IEC 29119の構成
現在、次の大きな標準である"Work Product Review"に向けて準備をしており、2014年中には新標準作成の提案がされる予定である。
Work Product Reviewが対象とする範囲は、現在調整中ではあるが、ソフトウェアに関する、ドキュメント、プロシージャー、ルール、ソースコードなどの作成物(Work Product)のレビューの技術およびプロセスとなる模様である。
[図2] Work Product Reviewのプロセス例
国際標準として発行された29119の各Partは今後日本での展開が検討されており、翻訳およびJIS化などの検討が進められている状況である。
また、ソフトウェアテストシンポジウム2013東京ではWG26のコンビーナ(リーダー)であるStuart Reid氏を招き、29119に関するパネルディスカッションが開催された。さらに、"Work Product Review"標準などWG26のソフトウェアテストが扱う標準の範囲が広がっている。これらの動きは、ソフトウェアテスト技術者だけでなく、ソフトウェア品質保証の方にも関係してくると考えられる。