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2011/9/04
報告者 / 湯本 剛 (NPO ASTER)
2010年10月20日、私は、韓国で行われた 「ASTA 2010 Seoul International Software Testing Conference」 に講演者として招待され、講演を行ってきました。本稿では、当日の様子をご紹介いたします。
このカンファレンスは、海外からの招待講演だけで構成されており、おもにISTQBのメンバーが講演者となっていました。20日はカンファレンスでしたが、その前の2日間はトレーニング(日本でいうチュートリアル、韓国語のサイトではトレーニングと書いてあるらしいです。)が行われていたそうです。
当日、受付に着くと、韓国の主催団体であるSTAの知り合いの方が会場内に連れて行ってくださいました。200人程収容できる規模の会場だとのことでしたが、会場内はほぼ満員でした。なお、カンファレンスの価格は175,500韓国ウォン(2011年9月のレートでは約11,500円)でした。
以降、当日の講演内容を簡単に紹介していきます。
この講演は、マイクロソフトではテストをどのように行っているか、という話だったのですが、BJの職種であるテストアーキテクトとはどういう仕事かという話とテスト自動化の話が中心でした。
話はどれも興味深いものでしたが、最後に「テストで大事なことは計測とフィードバックで、全ての活動がバグの予防につながるようにしなければならない」といっていたのが印象的でした。
質疑応答でも印象的な応答がありました。何種類のメトリクスをとるのが妥当なのか?という質問が会場からありましたが、BJは、「わかりません」と答えていました。「それはあなた次第。何をしたいかで決めなさい」とのことでした。
この講演は、基本的にTMMiとはどういうものかということの説明でした。
ポイントは以下の2つになると思います。
また、さまざまな数字でアセスメント結果から見える現場の実情を説明していました。印象的だったのがバグ分析の話です。「バグの分類をしている会社は80%近くいるが、しっかりフィードバックが行えているのは25%しかない」とのことでした。
いよいよ、私の講演です。
内容は、「なぜ、ゆもつよメソッドが必要か?」→「それってどんなものか」→「リスクと繋げるならどうやるか」という流れで話を進めました。会場全体が集中して聞いてくれていました。
ヤーロンのプレゼンは「受け入れテストのプロシージャ」というものでした。
テストを請負で行っている人たちへのアドバイスです。受け入れテストに関して、ISTQBの定義を基に説明し、ISTQBのテストプロセスを提示し、各プロセスの説明に自分の経験談を合わせて話をしていました。
午後最初の講演は、再びBJ・ロリソンの講演です。「ヘイゼルの”test, then code!!”は1987年の言葉だよね」とか、「バイザーの”The act of designing tests is one of the best bug preventers known “は1983年の言葉だよね」と言う前ふりがあり、その後、自分はどんなことをMSで行ってきたか、という話をしていきました。
「データドリブン単体テスト」「BDD/ATDD」「キーワードオートメーション」「デフェクトプリベンション」「シナリオテンプレート」「リアルタイムカバレッジアナリシス」などが、マイクロソフトで進めているテストに関するキーワードになるそうです。
続いてエリックの講演でした。
内容は「テストマネジメントとツールは切っても切れない関係であり、マネジメントツールを使うべき」という内容でした。
マネジメントツールの活用を促進するために重要なのは教育で、ベンダーの教育はもちろんですが、社内の教育コンテンツが必要であり、そこで正しく使い方を学んでもらわないといけないという話でした。
クラウスの講演は、このカンファレンスの1週間前に行われた日本での講演( 「ISTQB World trend report」)と大筋は同様の内容であるとのことでした。
TMMに基づいた改善を行い、96%の欠陥除去率を達成したという話です。96%の欠陥除去率と聞くと、大きな効果があるものだと感じますが、実はリリース後90日間までに出たバグと、開発時のバグを母数にして割り算しているとのことでした。
最後がスチュワートの講演です。
テスト担当者にもエキスパートレベルの人もいればどうしようもないレベルの人もいるが、特に中間層のスキルをもっと上げなければならないという話でした。
これで当日の講演はすべて終了しました。当日の様子が伝われば幸いです。今回このような機会をくださった韓国のみなさんには本当に感謝します。外国のカンファレンスに行くと、日本とは違ういろいろ良い経験ができます。私も自分のテストのやり方を英語で伝えるというとても良い経験ができました。日本の技術はほとんど世界に知られていないので、今後もいろいろな機会で日本の技術を紹介できればと思います。