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ASTA活動
 2007 ASTA報告

2007 ASTA発表記

2008/1/09
池田 暁 (日立情報通信エンジニアリング)

私は10月上旬に行われた「2007 ASTA International Conference」で,ASTERからの派遣という形で発表を行ってきた.
現地での発表の様子を簡単にレポートしたい.

ASTAは日中韓のソフトウェアテスト関係者によって,2007年に設立された有志による枠組みで,ASTAが主催するASTA Conferenceは今年が第一回目となる.
ASTAは国際カンファレンスであり,ISTQB所属者を中心に世界各国から発表者が集まった. どの発表内容も,各国の特色が良く出た多彩なプログラムとなっている.
日本からは以下の三組の発表者がASTERより派遣された.

  • 山浦 恒央氏 (東海大学)
  • 細川 宣啓氏 (日本IBM)
  • 鈴木 三紀夫氏 (TIS),池田 暁 (日立情報通信エンジニアリング)

山浦氏は「Forth Generation Test Strategy: A Quicker Test for Death March Projects」,細川氏は「Code review and inspection practice in Japan」, そして我々は「Using MindMap for Software Testing Activities」と題して発表を行った.
プログラム構成上,我々の発表順番は日本勢としてはトップバッターであった.

聴講者はホスト国である韓国の方が多数を占めており,また,MindMapの活用例という内容はプログラム上異色な気がしていた.
そのため,当初,それほど聴講者は集まらないのではないかと考えていた. ところが,昼食をとって会場入りしてみると,非常に盛況で,200名は入るであろうという会場はほぼ満員となっていた.
私自身初めての海外発表ということもあり,かなりひるんだものの,これほど集まっていただいたことに純粋にうれしくもあった.
セッションの司会は韓国の方であったが,会場をいい具合に暖めていただき,和やかな雰囲気,しかしどことなくピンと張り詰めた雰囲気であった.

我々の発表であるが,以下アジェンダで進めた.

  • Overview using Mind Map for software testing
  • Abstract of Mind Map
  • Benefits when using Mind Map
  • Processes when using Mind Map
  • Group session & Review by Mind Map
  • Future Expansion

初心者テスターとベテランテスターのテスト設計時における作業の違いを例に挙げ,初心者には難しい試行錯誤のプロセスをMindMapでサポートするという内容で,このASTAでのために一から作ったネタである.
解説をイメージしやすくするために,時折ビデオによる解説を交えながら進めたが,聴講者に熱心に聞き入ってもらった.
発表終了後の質疑応答も実に活発で,あまりの熱心さにたじたじになる場合もあった.この時の質問だが,具体的にどう導入するのかなど,すぐにでも使うことを前提での質問が非常に多かった.
日本国内での質問は,苦労した点は何か,データは?といったような質問が多いが,普段と質問の傾向が異なり,多少とまどった.
要するに,その技術を導入するためのノウハウは全部教えてもらいたいとでもいうような雰囲気であり,その積極性から,熱いな,という印象を強く持った.

日本は品質の面では他国に比べて一歩も二歩も先を行っていると考えがちであるが,現状に満足していると,近い将来簡単に追いつかれるのではないだろうか.
簡単に追いつかれないように,我々も積極的に勉強していかねばならないと危機感を強く持った.

ASTAでの発表は本番で話す内容が飛んでしまうなどの失敗もあったが,非常に充実した発表であった.
また,海外発表をやり遂げたという開放感も相当なものであった.
発表後の打ち上げはご多分に漏れず韓国焼肉だったわけだが,一口目のビールがこのうえなく美味しかったのは言うまでもない.

細川氏,山浦氏の発表もほぼ満員御礼であり,とても盛況であった.
ソフトウェアテストのカンファレンスやシンポジウムは,日本国内ではJaSSTがあるが,海外の取り組みについて紹介されている機会はあまりない.
韓国は東京から飛行機で2時間と,九州や北海道に行く感覚で気軽に行ける.
私自身,各国の取り組みを生で聞くことで,大きく視野が広がった.
皆さんも是非,積極的に参加してみてはいかがだろうか.

なお,2008年1月末に東京で開催されるJaSST'08 TokyoではASTAセッションが設けられる.
普段簡単には手に入らない,アジア各国の動向情報を収集できるよい機会である.
是非,聴講することをお勧めする.

以上

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