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イベント報告
ソフトウェアテストシンポジウム オンライン Clover

2021年7月31日(土) オンライン開催

ソフトウェアテストシンポジウム オンライン Clover

オープニング

本イベントのテーマに「アウトプット」を選んだ理由についての説明があった。アウトプットのメリットには自分の成長や社会的な繋がりの広がりがあり、今の自分がこうしてオープニングを担当しているのもアウトプットを続けた結果である。本イベント名で使用している「Clover」の花言葉は葉の枚数が増える度に変化し、「始まり」→「素敵な出会い」→「信頼」→「幸運」へと成長していく。今回は3人の方にアウトプットに関する発表をして頂くので、参加者の皆さんにも是非アウトプットを通して幸運までつかんで欲しいとの挨拶でオープニングを締めくくった。

筆者感想

アウトプットについての自分の見解は「アウトプットとは才能なのでは?」である。私自身アウトプットは何度かしているが、アウトプットを出来るようになる方法については説明ができないでいる。アウトプットは才能なのか? スキルなのか? その疑問を解くヒントが見つかるのか? 大変楽しみなテーマだった。

ライトニングトークセッション

「私が、noteを書くときに大切にしている"たった1つ"のこと」
 akiyama924(秋山 浩一 氏)
セッション概要

「読者の誤読を防ぐ。」それが秋山氏が note を書くときに大切にしていることだった。その為に文章作成時は適宜括弧つきで補足説明を追加し、助詞(てにをは)や接続詞を省略しないことで文章が明確になるように note を書いている、と述べた。また読者の誤読を防ぐメリットとして、文章中に間違いがあった場合に読者が気づきやすくなり、指摘もしやすくなる事が期待できると述べた。 発信を続けるコツとして習慣化についても紹介した。習慣化していることは、平日中に記事のネタを集め、土曜日に初稿を作成し、日曜に推敲と裏付けを実施し、月曜に公開している、と述べた。また記事の内容は自分や読者にとって役立つものを選ぶことがモチベーションになっていると述べた。

筆者感想

秋山氏の記事が読みやすい理由の一つが分かりとても参考になった。講演内容について補足するなら、秋山氏の記事が読みやすい別の理由としては、記事中の説明で秋山氏の思考過程の省略が少ない点も挙げたい。記事の始まりからどう考えて結論まで進めたのか、思考の過程を順を追って説明してあるので腹落ちしやすいのと、異論がある場合でもそれがどの部分に対してなのか分かりやすい。誤読の防止と理解の促進の両方を成立させている点が、秋山氏が書く note の魅力の一つと考える。

「ブログにまつわる因果ループ」
 kz_suzuki (鈴木 一裕 氏)
セッション概要

鈴木氏にとっての情報発信の意義を、因果関係とそのループで説明する発表内容だった。継続して発信する事で自身のサボり癖を抑制する。発信内容に対して批判があれば改善に繋げる。過去の発信内容を見返して整理することで今の自分に役立つ知見を得る。発信内容が洗練されていなくても、そこから議論が始まる事が期待できる。ネット上に公開する事でより多様な人間関係やコミュニティ活動の発展を期待できる。
情報発信で場合によっては恥をかくこともあるかもしれないが、それらも含めて自身の成長へ繋がると開き直ることにより、情報発信のループを成立させる。

筆者感想

発信を通して自分の成長にどう繋げるかについて、鈴木氏の考え方や実践内容を知ることができる発表内容だった。仕事を通した成長の場合は失敗しないように仕事を進める事が基本と考えるが、発信を通した成長の場合は失敗を恐れず今の自分の考えや理解などを公開することで、次の成長への足掛かりとする。その違いを気づかせてくれる発表内容だった。

「発信で人生が動き出した&発信と継続の技術」
 まつ(松谷 峰生 氏)
セッション概要

まつ氏が発信を始めたきっかけと、そこからどのように発信の内容や媒体が発展していったか、また発信を継続する際の考え方や工夫について紹介する発表内容だった。
まつ氏の代表作は「テスターちゃん」であるが、その誕生のきっかけは同僚との雑談だった。「漫画でテストをわかりやすく説明できないか?」との一言をきっかけにテスターちゃんは誕生した。次のきっかけは技術書を頒布するイベントの開催で、発信の場がWebに加えて同人誌も含まれる様になった。その後も英語版の作成、出版社による書籍化、学校でのテスト講義と発信の場は広がり続け、現在はまつ氏本人による法人化まで達成していると述べた。
何かを発信する際に重要なのは、発信するまでのハードルを下げることが重要であると述べた。ちょっとやってみるかの精神で、思いつきの内容で発信する。同じ要領で何度か発信すれば継続になる。自分にとっては何気ない内容でも人にとっては宝石になるものは多いと述べた。最後に「面倒くさいと思ったら死になさい」と母の言葉を紹介して発表を終えた。

筆者感想

きっかけを逃さず自分の人生に活かす。そんな生き方が印象的な発表だった。「面倒くさい」は機会損失やきっかっけの喪失に繋がる言葉である。ただ私は自分でも技術系の同人誌を作成しているが、作成中に考えているのは正に「面倒くさい」であり、それでも行動に移すのは作成行為自体は好きなのと作成後のメリットが明確なのが理由と考える。また発信の継続には成功体験の積み重ねも重要と考える。発表内容に加えるなら、成功のハードルを下げて自分自身を褒め続ける事も、発信とその継続に役立つと考える。

パネルディスカッション

情報発信に関する様々なテーマに関して、講師の三人に三者三様の考えを述べてもらった。

同じテーマで発信し続けると飽きてこないか?
  • 発信の参考にしているASTERセミナー標準テキストの内容が多岐にわたっているので、飽きやテーマで困ったことは無い
  • 飽きる前に発信媒体がどんどん変わっている
note の記事の有料化を考えたことはあるか?
  • 有料化すると気軽に書けなくなるので無料のままだが、読者からお布施を頂いたことはある
発信する情報の取捨選択や標準化などの加工をしているか?
  • ネガティブな情報など誰かを困らせるような内容は発信しない
  • 機密に関わる情報も同様だが、神経質になると発信できなくなるので、何かあればすぐ対応する姿勢で発信している
読者からの反響は気になるか?
  • ネガティブな反響の場合は気になるが聞き流すようにしている
  • ポジティブな反響を大事にする
  • 指摘はむしろ欲しい
仕事に活きたことがあるか?
  • 社内教育で、これ読んでね、と利用してる
  • 自分向けのノウハウ集になっている
  • 書いた当時の初心を思い出して気を引き締めている
失敗談や苦い経験はあるか?
  • イラストの練習も兼ねて某有名キャラクターに似せたら公開停止になったので著作権には要注意
  • 非公開の試験問題を発信して嗜められた
  • 某組織の裏事情など書いてみたが公開はしていない
作成時の工夫は何かあるか?
  • 文章をWordにコピペして、文章校正機能で文法に問題がないかチェックしている
  • 初心者でも理解できる文章を心がけている
  • ソフトウェアテスト293の鉄則はネタの宝庫で5回は読んでいる
  • 完成度は気にしない

OpenSpaceTechnologyセッション

参加者がテーマを持ち寄って相互に話し合うセッションだった。発信する際の悩み相談、普段使用しているオンラインツールの情報交換や通信環境の悩み、通信トラブルが発生した時の舞台裏、オンラインイベントの参加者がより積極的にイベントに関わるためのアイデアなど、積極的な意見交換が行われた。

筆者感想

複数の部屋で同時進行に意見交換が行われ、参加者は各部屋を行き来しながら議論に加わったり耳を傾けたりと、オンラインイベントの長所を活かしたセッション内容だった。その一方でオンラインツールの出来はまだまだ改善の余地が多く、例えば話した内容を自動でテキスト変換して途中参加した人にも経緯を把握できるようにする等、今後の発展を期待するセッション内容でもあった。

クロージングセッション

運営スタッフによる講師と参加者への感謝の言葉で本イベントの締め括りとなった。

筆者感想

発信に関する三者三様の考え方や取り組みについての話が窺えた貴重なイベントだった。またイベント中は通信トラブルが何度か発生したが、その度に運営スタッフが柔軟に対応して無事イベントを最後まで開催できたので有難かった。私自身も最初オンラインツールの設定で手間取ってしまい、簡単で使いやすいオンラインツールの登場が待ち遠しくなった。
イベントの開催後もブログ等で参加報告を発信されている方が複数おり、参加者の発信力とイベントの影響力の高さを再認識した。

記:小田部 健(ENECHANGE)

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