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2024年 11月8日(金) オンライン開催
当イベントはZoomでのオンライン開催である。開始時間前は、音楽などはなくどこか厳格な雰囲気である。参加人数はオープニングセッション開始時点で31名である。実行委員長の高木氏によるオープニングから始まった。四国では2008年から毎年開催とのこと。将来のテストエンジニアの育成であり、初心者を念頭に置いていると話した。また現場で役に立つこと、新たな気付きを得られることを望んでいるとも話した。締めは協賛についての説明でオープニングは終了した。
誉田氏は、最初に本日の流れとしてアジャイル開発が注目される理由、特徴、実情、品質重視のアジャイル開発のポイントの順での解説を行うと話された。
アジャイル開発の前提として近年は顧客の意識が所有から利用へと移るにあたって多様化・高度化・複雑化するようになったと解説した。
そうした状況に対応するためにも旧来のウォーターフォールでなくアジャイル開発の有用性を強く推した。
アジャイルソフトウェア開発宣言は2001年に行われており、24年の歴史があると話された。
アジャイル開発においてよく誤解される点についてドキュメントの軽視があるが、ドキュメントがあることによってどう利用すべきかどう改造すべきかの判断を下すことができるためその点が大きな誤解となっていると強調された。
アジャイル開発の現実として利用者であっても32%が批判者で推奨者は28%となっていると説明された。
しかしアジャイルのメリットとしてすぐに実物で確認できる、作り直す決断ができる、コミュニケーションを取りやすく開発が楽しい点を挙げられた。
最後にアジャイル開発のポイントとしてチームを一定の技術スキルで編成、技術系プラクティスを過去の知見から選んで適用する、出荷OKの基準をDoneの定義へ盛り込み常にチェックする、客観的メトリクスを収集し他と比較可能とするという点を挙げられた。
締めに書籍『品質重視のアジャイル開発』を紹介された。
アジャイル開発のメリットのみを打ち出すのでなく実際には銀の弾丸ではないという点、またどうすれば良い結果を生み出せるのかを丁寧に洗い出されているため非常に勉強になった。
またよく誤解されている「ドキュメントはいらない」という言説に対してもその問題点を指摘し、なぜその考え方が危険なのかを明確化されていたのは印象深かった。 アジャイル開発を行う際は今日の内容を思い返すだけでなく、紹介していただいた書籍を手元に用意しつつ臨みたいと思った。
講演者の趣味についてのお話からビスマルクの名言『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』の詳細な発言とされる言葉を取り上げつつも自分で経験してみないとわからないこともあるのではと疑問を呈されて話が始まった。
知識の入手先の分類として演繹と帰納を紹介し、演繹が書籍や研修であるのに対して帰納はセミナーや事例を扱った書籍と説明した。
自動テスト・システムであるACRE AI Controlled Replay & Explorationの説明をした。
Jenkinsを利用した際に発生したインシデントと原因分析、直接の原因、根本原因そしてその対応策をケースごとに解説した。
様々な原因で発生するインシデントとその問題の切り分け方法を丁寧に解説されたのが印象的だった。
例えばJenkinsのアップデートが困難なことを発見しJava11が必要と特定、そこからアップデートが先延ばしになっている点にまで根本原因を突き止めるのは緻密で精確な仕事の賜物だと感じた。
また最後の締めにお話しされた知識の誤りを減らすために強化し続ける必要がある点や依然正しかった知識も誤った知識になる可能性があるという点、そして実際の問題で実践して初めて知恵となるというお話はあらゆる状況においても重要になるのではないかと感じた。
概念の観点からと実際の仕事の現場での観点両方からソフトウェアテストについて学ぶことができ非常に有益だった。
世間一般で誤解されている点についても丁寧に解説をしていただけたので自分がその状況下に陥ることを防ぐことができるように感じた。
またご両名ともお話の内容や語り口からご自身のお仕事を楽しまれているように感じ、自分もこうありたいと思うことができたのも大きかった。
記:草野 遼