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2023年1月20日(金) 於 オンライン開催
正解がわからないものを作るには、自分たちが作ったものは必ず間違っているという前提で、高速のサイクルを回すことが大事になる。
"The State of Dev Ops Reports"のサーベイによって、ソフトウェアデリバリの能力が競争上の優位性をもたらすことが実証された。さらには、システムのタイプや業界と企業のデリバリのパフォーマンスには相関がないことも判明している。
競争力を支える継続的デリバリとは、全員で責任を担うものであり、程度はあれど、全員が開発の全て(設計〜サポート)の活動を行うことができる状態が望ましい。
実現には、信頼性の高い自動テストが必要となる。一方で、QAチームや外注先が作成したE2E自動テストは、ITパフォーマンスと相関関係がないという分析結果もある。フルサイクルのチームにテスト技術者も入り、一緒にテストを作る。組織として作れるようにすることが必要である。
変化し続けることがソフトウェアの本質である。その変化を日常の1ページにするために、自動テストを書き、変化を可能とする能力を備える。自動テスト文化とは、自動テストの重要性と保守性を組織、チームが理解し、改善努力を継続的に行うことである。
チーム全体で自動テストを書いていけるようにしていくべきということは、感覚的には感じていた。今回、調査や分析によって裏付けされることにより励まされたように感じた。未知なものに挑戦していく勇気と元気をもらった。
DX化の重点は、業務の効率化からビジネスモデルの変革を伴う新サービスの創出に変わってきた。先が見えない時代においては、Planではなく、Doで探るしかない。そこで、テスト&ラーンが可能なアジャイル開発が最適である。
繰り返し開発では、リスクを回避するために、リスクの高いところから開発する。それに対してアジャイル開発は、リリースできる単位で、分析からテストを一度に短期間で「ブレンド」して実施するものである。
アジャイル開発実践の難しさの要因としては担当者やステークホルダーのスキルの問題、メンバーの負荷、実現可能性、などがあげられる。
アジャイル開発を上手く回せるようにスクラム研修などを行うだけではなく、技術的な取り組みも重要となる。基準値(静的テストの結果、テストカバレッジ)が常に達成していることを確認しながら開発を進められる環境を作ることが必要である。
アジャイル開発になっても、日本の品質レベルを支えてきた技術で生かせるものはあるはずである。オフショアでとりあえず動くものを出すという時代は終わった。
人員のレベルをはじめ、Doneの定義やメトリクスなど、一覧で具体的な情報が提示されており、理解しやすかった。また、「アジャイル開発になっても、日本の品質レベルを支えてきた技術で生かせるものはあるはず」という言葉が印象的だった。
要件定義書、仕様書、テスト設計書がないプロジェクトの、リリース1ヶ月前にジョインした。開発チームにヒヤリングを実施したが、テストケースもないので判断ができなかった。
同じ視点でレビューし、共通理解を得た上でリリースするために、成果物をモブで作ることにした。成果物としては、リーンキャンバス、ユーザーストーリーマッピング、テスト観点表を作成した。
結果として、合意形成が早いというメリットがあった。それだけでなく、一体感と同時に開発チームとQAチームの双方に学びがあった。
続きとして、リグレッションテストの自動化にも挑戦した。絶対に品質問題を起こしたくない箇所のみ網羅性を確保するなどの工夫をした。
テスト自動化を基盤として、お互いにテストとアーキテクチャについて学ぶことができた。
伊藤氏が実際に関わったプロジェクトの話をもとに、非常にわかりやすく説明いただいた。
限られた時間の中で前進するために、モブワークで一緒に成果物を作成することは、とても有用だと感じた。
3つの講演とも、アジャイル開発をトピックとしていた。チームとして一緒に品質を作り込むかが大切であるというのは、3名に共通した考えであると感じた。
サーベイの結果から企業全体、企業間の比較の話を行った和田氏。企業内での人員スキルやプラクティスの話を行った誉田氏。1プロジェクトの具体的な事例を紹介した伊藤氏。様々なスコープでアジャイル開発について見つめ直す時間を過ごすことができた。
記:森田 麻沙美(JaSST Tokyo 実行委員)