HOME > 活動報告 > イベント報告 > JaSST'20 Tokai

イベント報告
 ソフトウェアテストシンポジウム 2020 東海

2020年10月16日(金) 於 オンライン開催

ソフトウェアテストシンポジウム 2020 東海

はじめに

2020年10月16日(金)に、JaSST'20 Tokaiが開催された。
オンライン開催とのことで、地域外からの参加者も多く、参加者同士が、とても近いシンポジウムとなった。

基調講演
「Re-collection of embedded software QA in the last decade」
西 康晴 氏(電気通信大学)

「技術は振り子」
「後の先」「両利き」
「ひつまぶし」
など、キーワードが盛りだくさんの講演内容だった。

「後の先」とは、相手をよく観察し、遅れて立ち上がったとしても先手を取れる底力
「技術は振り子」先端技術に振り回されるのではなく、そこを超えて進化する
「両利き」慣れた仕事・改善を右利き、先端的な手法を左利き、として、両方が必要
「ひつまぶし」かば焼きは、横串が通っているからうまく焼ける、コミュニケーションの話
など。

昨今、目まぐるしく新しい技術が登場する中それらにどう対応し、スパイラルアップさせていくか、講演ではかなり資料から割愛されていたものの、よくある組織的なアンチパターンへの対策も盛り込まれていた。

詳細は講演資料に譲るが、多くの方が悩まれているであろう、コミュニケーションの問題にも切り込んだ、改善のためのヒントが盛りだくさんの内容だった。

筆者感想

モノづくりのあり方とQA、という、そもそもの自分のあり方を考えざるを得ない内容であった。
昨今のQAにまつわる新しい技術が目まぐるしく進化していくのを感じる中でも、むしろ原始的な内容を忘れずに活かして育てていく、そのために新しい技術を見極めて取り入れていくことになるのであろう。

ライトニングトーク(LT)

エントリーNo.2
「モダンテスティング7原則」
 河原田 政典 氏(グロービス)

スクラムを長くやっている方には見覚えのあるリストだと思われるが、高い品質の製品をリリースする事を義務付けられて業務に携わっている方には違和感のあるリストかもしれない。ただ、価値をどこに置くかによってはとても有能なリストだと思った。高いインサイトを感じた。

エントリーNo.3
「テスト活動におけるコミュニケーション戦略の研究」
 ~最速の情報伝達手段「会話」を考える」
 堀川 透陽 氏(ベリサーブ)

エンジニアのタイプ別分析の紹介があった。
DiSK分析や、MBTI分析を彷彿とさせる内容で、分類についてはたしかにありそうだな、と納得感があった。

エントリーNo.4
「テストプロセスの構築と開発プロセスの再構成」
 井関 武史 氏(テストの街「葛飾」)

実践での葛藤やトライなど、実践にかかわる発表だった。
このように、いろいろ工夫して進んでいけるのはとても良いことだと思った。

エントリーNo.5
「新人にテスト」という安直さに「イラッ」としたけど、冷静になって、新人研修で探索的テストをやってみた」
 テストの街「葛飾」

新人さんと一緒に実践したことの事例。
育成にかかわるシチュエーションで、どう進めるかのヒントになると思った。

筆者感想

それぞれ5分前後と、短い時間ながらも、うなずいたり、ヒントがあったり1つ1つが楽しめる内容だった。もっと詳細も聞きたく感じた。

特別講演
「テスト自動化でも変わらない、テストの大切なこと」
小山 竜治 氏(freee)

自動化にあたって、押さえておくべき必須のことや、自動化の種類、開発ライフサイクルや、テスト対象に合わせて自動テストを構築する内容、テスト自動化が生きてくる場面についてや、Automation.Test.SSFという、自動化フレームワークの紹介などがあった。

その中でもTipsとして、

  • テスト自動化の8原則
  • テスト自動化の利点
  • テスト自動化の大変なところ
  • ずっとPassしているテストが要注意

などが触れられていた。

無限にテストパターンがある中で、「何を常に知れるようにするか」「常に安心したいことは何か」を、しっかり見極めて実装する、という、最初に抑えておくべき内容から、詳細に至るまで、極意が詰まった講演だった。

筆者感想

普遍的なようで、忘れてはいけない、これから自動化しようと考えている方には大きなインサイトのあるセッションだったと思う。
また、すでに手を付けられていて、何かうまくいかない、という状態の場合もこの内容を思い起こして取り組めると、様々な解決の糸口があるように思った。
自分が普段考えていることを再確認できたように思う。

SIG
「アジャイル井戸端会議」
kyon_mm 氏(うさぎ組)

オンラインで、MURALという、付箋を動かしてつかえるホワイトボードのようなツールを使ったワークショップだった。
参加者が、どういう話を聞きたいかを付箋に書き、テーマをKJ法的に要約して深堀するという内容で進んだ。

オンラインでのワークショップは、以下にやり方を完結に伝えるかなど気を使うところもあると思うが、手慣れたナビゲーションですぐに取り組むことができた。

参加者もすぐに要領を覚えて進められて、先の基調講演のお話について議論したり、自分が困っているテーマを出してお話するなど、参加者が実際に実践している方法や、ちょっとしたコツ、解決方法がどんどん出てきた。

話の最後に、最近の技術について、AIによる、バグ予測の開発の話が飛び出した。

筆者感想

テーマを深堀して議論できる、有益なやり方を教えてもらえた。
その中から要約されて抽象度をあげたものをテーマに議論するため、参加者の興味に近い内容の議論に、話題を発散させることなく有効に時間を使えたのがとても良かったと思った。

時間も足りないと思うくらいだった。

記:江川 さおり(ASTER)

[ページトップへ]