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2012年3月16日(金) 於 NICO会議室
日本各地で開催されているソフトウェアテストシンポジウムJaSST。昨年、新たにJaSSTに加わり大盛況で閉幕した新潟の地で、今年もまたJaSST'12 Niigataが開催されることとなった。昨年同様、申し込みが殺到し、受付締切り期日前に定員が満席となったことから、新潟周辺地域での「品質」に対する意識の高さがうかがえる。
今回は「新潟発!の品質を考えよう」をテーマとし、基調講演と3件の事例発表が行われた。事例発表のうち2件が新潟地域における「産・学・官」連携による航空機関連産業支援の取組『NIIGATA SKY PROJECT』に関する発表であり、テーマどおり「新潟ならではの品質」を感じることができた。
基調講演は清水吉男氏による「XDDPによる品質と生産性の同時達成」。派生開発特有の問題である「部分理解」を解決するための「XDDP」開発アプローチや「USDM」「PFD」といった技法の活用に関する講演であった。なおJaSST'12 Niigataの前日には、JaSST-AFFORDDジョイントセミナーとして「USDMによる要求仕様の書き方」も開催され、両日ともに参加した方は、派生開発プロセスに関するより深い知識を得ることができた。
清水吉男氏の貴重な体験談から「日本のエンジニアよ、もっと頑張れ!技術を高めろ!」といった熱いメッセージが会場内に伝わった。
岩田拡也氏、吉田誠氏、両氏の事例発表は『NIIGATA SKY PROJECT』におけるプロジェクトリーダー/開発者それぞれの視点からの品質取組についての紹介であった。セッション内容に繋がりがあったため非常に理解しやすいと感じた。
新潟発の「無人飛行機のジェットエンジンプロジェクト」。まるで幼少時代にアニメで見たような「空飛ぶ車」を新潟の地で実現させようという壮大なプロジェクトである。世界も視野に入れ、次世代の航空産業を見据えた新しい技術を開発しており、誰が聞いても心躍るような楽しい内容であった。また動画も交えた事例発表となっており、成功/失敗した瞬間の一部始終が紹介されると会場は大いに盛り上がった。異業種「産・学・官」連携で、地域と企業が一体となることで、地域活性化や技術力向上に繋がっており、今後も「新潟」という地の利を活かした新たな航空産業の形を世界へ発信していくことになるだろう。
最後の事例発表は、山内啓悦氏による「システム自動生成ツールを用いたユーザー視点開発」。システム自動生成ツールである「GeneXus」の活用事例に関する紹介であった。GeneXusは南米ウルグアイで開発されたDOA(データ中心アプローチ)ツールであり、開発環境を問わず業務仕様を入力することで自動的にシステムを生成できる。ツールを上手に活用することで、技術者は仕様作りに注力でき、より良いシステムを生み出すことができるであろう。
クロージングはJaSST新潟実行委員長より「今年で2年目のJaSST新潟。新潟としてのイベントの形は定着してきた。このJaSSTの場で学び、現場に持ち帰り、ぜひ活用していただきたい。また、今日この会場にいる参加者がいつの日か登壇してくれることを期待している。一緒にもっと新潟を盛り上げていこう。」という力強いコメントがあり、今年も大盛況で閉幕となった。非常に充実した時間を過ごすことができ、新潟の底力を感じ取ることができた。
(記:神田 繁良)