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2011年7月19日(火)於 香川大学研究交流棟
第四回目となるJaSST 四国は、基調講演を町田氏、チュートリアルに秋山氏を揃え、その豪華な布陣から四国だけで無く近畿圏や関東圏からも参加申し込みがあり、熱狂的なシンポジウムになることが予想された。
しかし、開催当日、大型で強い台風六号(マーゴン)の接近に伴いすべての公共交通機関が止まるという事態となり、チュートリアルの講師を予定していた秋山氏が来られなくなることが判明。 10年近い歴史があるJaSSTで始めての自然災害による中止も視野に入れて、実行委員内で開催可否を検討した。
幸いにも基調講演を担当している町田氏が前日から高松に入っていたことから、実行委員会は参加者の安全を第一に配慮しつつ開催を決定した。 正式プログラムとしては、チュートリアルは中止し基調講演だけで終了することになった。チュートリアルの代わりに有志だけが残ってチュートリアル教材を使って、勉強会を実施することにした。
欠席者が多数となってしまうのではないかという予想を裏切り、申込をされた多くの方が天候の悪いなか来場され、欠席者はわずか5名。 その大半は首都圏や近畿圏からの参加者であることを考えれば、地元申込者の大半が参加されたことになる。共同実行委員長の古川先生も挨拶の中で参加への謝意を述べられた。
基調講演は、町田欣史氏の「現場ですぐ使えるソフトウェアテストツール」。最初に日経SYSTEMS 2011年6月号の調査結果*1)から、現場では3~4割しかテストツールが使われていない状況を紹介した。 町田氏はこの講演を聴いて少しでもテストツールを使って欲しいと講演内容を組み立てたとのこと。先ほどの調査結果*2)では、テストツールを導入しない理由の第一位が「導入コストが高い」ということから、 講演で紹介するツールはすべてフリーのツールにしたそうである。ただし、フリーのテストツールは限られた機能しか実装していないことが多く、現場でテストツールの成果を最大限に享受するためには、 複数のテストツールを組み合わせて使うことが重要であるとの指摘があった。
限られた時間の中で多くのテストツールを紹介していくなかで、テストツールを使って開発現場を改善しようとする町田氏の強い想いが伝わってきた。 「なぜ、私がテストツールにこだわるのか。ツールを使うことはテスト技術者の使命だと思っているからです。」 この発言は会場にいる参加者だけでなく、ツイッター*3)を通じて多くのテストエンジニアの共感を得られたようだ。
テストツールの効果を直ぐに求める現場の風潮に対して、町田氏は講演中何度も「粘り強く」「根気よく」という言葉を遣いながら、長期的な視野に立ってのテストツールの導入を薦められていたのが印象的であった。
町田氏の講演が終わりJaSST'11 Shikokuの公式プログラムは終了した。チュートリアルの代わりの勉強会は自由参加とし、途中退席も自由にしてスタートした。 勉強会の進行役は、このレポートを書くために現地に入っていた私が実施することになった。秋山氏が用意したテスト技法の基本中の基本である同値分割と境界値分析の演習問題をみんなで解きながら、 テスト技法を現場で適用するときの注意点や、どんな間違いが起きやすいのかを共有していった。
台風の中でのJaSST四国であったが、参加者の多くが満足して帰宅されたようであった。
(記:鈴木 三紀夫)