HOME > 活動報告 > ASTA活動 > ISO/IEC JTC1/SC7/WG26(ソフトウェアテスト) 会議報告
2013/4/30
報告者 / 増田 聡 (NPO ASTER)
岩田 真治 (NTTデータ)
ASTERはISO/IEC JTC1/SC7/WG26(ソフトウェアテスト)のリエゾンであり、標準化・国際シンポジウム等への技術者派遣等を行っている。本欄では、ソフトウェア技術者への情報共有として、増田(NPOASTER)からISO/IEC JTC1/SC7/WG26ソフトウェアテストに関する審議の背景、および今回派遣した岩田(NTTデータ)から2013年ニュージーランド.ウェリントンで開催されたWG26の会議の報告書を掲載する。なお、本欄での報告はASTERからの派遣を行った場合に行うものであり、WG26の活動の包括的な報告ではない。継続的な会議の報告は情報処理学会 情報規格調査会 (http://www.itscj.ipsj.or.jp/ ) に掲載されている。
ソフトウェアが社会に広く使われている今、ソフトウェアのテストに関する関心も高まってきている。障害を防ぐため、コストを下げるため、満足度の高いソフトウェアとするため、などソフトウェアテストの関連エリア多岐に渡っている。また、ソフトウェアテストを専業とする企業、産業も立ち上がってきている。しかしながら、ソフトウェアテストに特化した用語、プロセス、文書などの国際標準が定義されていない状況である。単に「テストをした」と言っても、何をどうテストしてどういう文書を残すかなどは定められていない、またはその都度定めている状況が見受けられる。
このような背景を受けて、現在、ISO/IEC JTC 1(ISOとIECの合同技術委員会No. 1)ではソフトウェアテストに関して、ISO/IEC/IEEE 29119 Software Testing(注:2012年からIEEEがJoint標準として参加した。)ISO/IEC 33063 Process assessment model for software testingの2つの標準が審議されている。ISO/IEC/IEEE 29119 Software TestingはPart 1 Concepts & Definition、Part 2 Test Process、Part 3 Test Documentation、Part 4 Test Techniqueの4つのパートからなっている。ISO/IEC 33063はTest Processについて組織のCapabilityをアセスメントするモデルである。29119はWG 26で、33063はWG 10で策定されている。日本国内では33063の専門性からWG 26が対応している。
日本からもそれぞれのWGに参加しており、主な作業としては、29119 Software Testingに関してはそれぞれの標準書案に対する日本国内のコメントをとりまとめ、国際会議に参加しそれらのコメントを主張し取り入れてもらうよう働きかけている。33063 Process assessment model for software testingでは、標準書案の作成をおこなっており、他のエディタとともに国際会議までにドラフトを完成させる作業も加わっている。
29119のPart 1から4はIEEEがJoint標準として参加し、国際標準として発行される際にはIEEEでも承認されることとなった。具体的にはテスト・ドキュメント標準であるIEEE 829はISO/IEC 29119 Part 3の内容で置き換えられる予定である。
29119のPart 1、2、3は2013年中にFDIS (Final Draft International Standard)として投票が行われ、国際標準(IS: International Standard)として発行される見通しである。 29119のPart4、33063 (Process Assessment Model for Software Testing)は関しては、2013年中にDIS (Draft International Standard)の投票が行われ、来年以降国際標準として発行される見込みである。また、新たな標準としてPart 5 Keyword-Driven Testingの提案が承認され審議されており、2013年中にはCD (Committee Draft)の投票が行われる見込みである。
(2013/4/30)
委員会名:WG26(主査: 西 康晴)
報告者氏名:岩田 真治(NTTデータ)
開催場所:Standards New Zealand (ウェリントン、ニュージーランド)
開催期間:2013/2/3~2/8
参加者・参加国数:19カ国/18名(Skypeによる遠隔参加者1名含む)
(敬称略)
日本は今回3名が本会議に参加した。各Partの方向性を議論するサブグループにて多くのコメントを提示し、規格の質の向上に貢献した。引き続き改訂版についてのレビューが求められるので、国内委員会で議論し適切なコメントを起草する予定である。
ASTERは技術振興団体として、今後も標準化・国際シンポジウム等への技術者派遣等を行う予定である。