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ASTA活動
 SOFTEC 2008 報告

SOFTEC 2008 に参加して

2011/9/04
報告者 / 東 大輔 (NPO ASTER)

はじめに

2008年8月に MSTB(Malaysia Software Testing Board)主催の SOFTEC 2008 に ASTA活動の一環として参加してきましたのでレポートをお届けします.

マレーシアという国

写真/SOFTEC 2008 メイン会場
[写真1] SOFTEC 2008 メイン会場

SOFTEC 2008 は政府のバックアップもあり,会場は五ツ星のホテルにて開催されました.2日間を通して150名の参加とのことです.参加人数の規模は日本のJaSST Tokyoほどではありませんが, 各参加者の熱意は質疑の多さからその意識レベルは高いと感じました.開催の挨拶では産官学の協力がより必要であると述べてらっしゃいました.また,スキルの底上げが必要との発言もあり,こうした課題はどこでも同じなのだなと思いました.

テストクリニックセッションでは,女性チームがクリニックを受けていて,マレーシアでもソフトウェアテストで女性が少なからず活躍されていることが窺えました.
自分のセッションでは組込み機器の自動テストツールの紹介をしました.聴講者は多くはありませんでしたが,質疑応答では予想以上の質問をいただき少々驚きました.

セッション Current Software Testing Landscape in ASTA Countries

二日目の午後に,参加 ASTA 各国の代表が各国の状況を説明するセッションがありました.

韓国のウォンニル氏は,コミュニティサイトをプロジェクターに投影しながらソフトウェアテスト専門会社が30社ほどあることを紹介し,業界が急速に育っている点を強調されました.政府は IT ミニストリィを置き,車・造船・医療・防衛・鉄鋼等の各分野に IT を導入するようドライブしているとのことです.携帯電話メーカもあることから TTA(Telecom Technology Association)が組織され,組込みソフトの重要性が増している点も挙げ,日本ともっとも似ていると感じさせました.オートメーションツールを始めとしてテストツールの導入に積極的だそうで,海外のツールより韓国企業のものが主に採用されているようです.

写真/日本の概況をプレゼンテーションする高橋氏
[写真2] 日本の概況をプレゼンテーションする高橋氏

日本の高橋氏は,JSTQB等日本での取り組みをはじめ,組込み機器の高機能化・ソースコードの爆発的な増大からソフトウェアテストが難しくなっている点を指摘し,如何にテスト戦略が大切かを強調されていました.技術者の不足や海外へアウトソース時の問題点にも言及しました.実は高橋氏は併催される ASTA 会議に出席するのみでスピーチする予定はなかったのですが,朝の一時間で日本の概況をうまくまとめていらっしゃいました.

ヴェトナムのヨンタイ氏は,ソフトウェアテストのマーケットが拡大していることを述べ,政府によるテストラボの開設や大学でソフトウェアテストコースが開講されて官学からも準備が進んでいることを強調されていました.ソフトウェアテストコミュニティには6000人もの技術者が参加しているそうです.ツールマーケットととしては,オープンソースが主で, Mercury 製品がそれに続いているそうです.

おわりに

今回のマレーシア訪問で,マレーシアのみでなくアジア各国の状況を聞くことができ,非常に刺激的な機会をいただけたことに感謝しています.

ソフトウェアテストは基調講演をされた Rex Black 氏に代表されるように米国がリーディングしていますが,ASTA 発の理論・プラクティスやツールが世界に出て行くことを目指していきたいと強く感じました.

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